| 1) |
癌周辺で話題となっている薬食キノコ、アガリクス、サルノコシカケ、メシマコブ、レイシ、シベリヤレイシ(チャーガ)キノコが薬食材であることは世界各国に確かな伝承があります。最も古く、そして成文化された記録として残っているものとして、中国、後漢時代の医薬農学書“神農本草経”に記載があります。それによれば、「サルノコシカケを煎じて、長年飲めば、体がはつらつとなって、老い込まず、長生きできる」と記載されています。
その他の大陸でもキノコが薬食材となることの記載は多く、長年の経験則が示されています。
|
| 2) |
西洋医学的基準で開発され、制癌剤として世に出たキノコ製剤、レンチナン、クレスチンキノコを薬食材として取り上げるために問題となるのは、同じ学名のキノコの株でも、採取された場所、時期、採集後の前処理(洗浄、乾燥など)、薬食材としての調製方法(多くの場合、熱水抽出つまり煎じて飲用する)によって、効果が異なる点にあります。そこで、近代化された製薬工場で、成分、薬効を均一化するため、製品化が試みられた時代がありました。その商品名はシイタケ科由来のレンチナン、サルノコシカケ科のクレスチンですが、今では市販されなくなっています。
これらの製剤はその薬効、特に免疫担当細胞を活性化する成績が証明されて、厚生省の認可を受けました。しかし、程なく医療現場から姿を消したのです。その主な理由は、何故体内で諸般の活性を示すのか、説明不足であったことと、当時これらの制癌剤に対する過度の期待があるが余り、結局期待はずれに繋がった経緯があります。しかし、これらの製剤は少なからず薬効が西洋医学的手法で示されたことは事実であり、多くの学術論文が発表されていて、薬食材の作用の証明法のバイブルとして残っています。
|
| 3) |
日常食用とするキノコと病気の治療、予防に関する言い伝え(トリフ、マッシュルーム、キクラゲ)日常的に食卓をにぎわすキノコは世の東西を問わず、多くの種類があります。洋食の素材として有名なトリフ、マッシュルーム、中華料理の素材、キクラゲ、日本料理のマツタケなどは余りにも有名です。これらの食材は起源となる文化圏において、健康素材として伝承されてきた証拠といえましょう。
|
| 4) |
キノコ成分が体に良い訳は
そこで、薬食材となるキノコは体に対して、どのように作用するのでしょうか?
金沢医大 大学院 代替基礎医学講座の清水 昌寿助教授はキノコの多糖体が体の“補体”を活性化することを証明しています。(補体;人の体液に含まれる11種のタンパク質群で体の防御に参加する成分)。
補体が活性化すると、11種のタンパク質群が次々と起爆(活性化)され、火の粉を散らすがごとく周辺の細胞にヒットして、火の粉のよって、お灸を据えられた細胞から順次活性化が進み、体全体の活性レベルが上がることが示されました。ここでも活性化の指標となったのは免疫担当細胞群でした。実験的には抗腫瘍活性も高まりを見ています。このような活性をより良く引き出すためには、キノコの多糖体が消化管から体内へ吸収される適切な分子サイズかどうかが問題です。
これまで、熱水抽出と呼ばれる方法が伝統的に主流でしたが、この方法では、お湯に溶け出す分子は小さく、抽出残渣(煎じた後のカス)が多く残ってしまいます。そこで、現在、適切な分子デザインを設計するために、薬食材をあらかじめ酵素で切断する方法や物理的に細断するミクロ化薬食材の開発が進められています。
このような最近の取り組みによって、アガリクスの酵素処理剤が免疫担当細胞の中でも大食細胞の機能物質、インターロイキン-12のレベル上げること、またAIDS患者の予備軍に与えると、免疫担当細胞の中でも指揮者にあたる“ヘルパーT細胞”の数を維持して、AIDSの発症を止めることが報告されました(新国際医学誌、eCAM,2005、第二巻印刷予定)。 |